街に溶け込む機械式時計

日本には「襤褸(ぼろ)を着ても心は錦」なんて言葉がありますが、「靴が綺麗な人は仕事が出来る」と言われるように身なりに気を使えるかどうかは、「ちゃんとした大人」としては凄く重要な要素です。

特に靴は全員が履いているもの。でも常に人の視界に入っている訳ではないですし、ちょっとくらい汚れていても良いか?と思いがちです。だからこそ、その人の品性がそこに現れます。東京神田の商業施設「マーチエキュート神田万世橋」内には、そんな靴を素敵に磨いてくれるお店Dratewka(ドラテフカ)があります。ドラテフカとはポーランドの言葉で靴の職人さんを敬称する言葉です。靴を磨くだけでなく、靴との向き合い方を教えてくれるそんなお店に、自分自身を磨きに行ってみた。重厚感のある外観に反して、バーカウンター型の店内は、外からも直ぐに店員さんの顔が見える入りやすい雰囲気。おしゃれな靴磨き店ということで少し敷居が高いのかな?と心配していた気持ちもなくなり、さっそく店員さんとヒアリング。物腰やわらかな口調で、靴の悩みを聞いてくれます。使い込まれた道具が所狭しと並ぶ店内は、職人技の積み重ねを感じられます。今回は靴磨きの基礎を学びたいので、オーソドックスな靴磨き(Maintenance ¥2,200)をオーダー。
まずは職人の手捌きで、靴の状態をチェック。
「最初に古いクリームやワックスなどを落とします。以前塗られたクリームの状態でその靴がどんなメンテナンスを受けてきたのか、その履歴がわかります。この靴はちょっと厚化粧ですかね」少し触っただけで、靴とそのオーナーの癖も見抜いてしまうのは流石の一言!「しっかりと古いクリームを落とした後は、革に必要な水分や、油分を補給していきます。その革に適したメンテナンスをすることで適度な光沢感と潤いが出てきます。靴に使用されている革も元々は動物のもの。私たちの肌のお手入れと同じで、見た目を整えるのはもちろんですが、健康的な状態に保つことも重要です。」

「最適なメンテナンスの頻度や、アドバイスなどあれば教えてください」

「そうですね、期間ではなく、10回履いたら1回手入れする形がおすすめです。またシュークリームを多く使うような人がいますが、指に少量で十分光沢が出ます。保湿を目的としてクリームを使う場合は更には微量で十分です」ゆったりとした時間が流れる中、「はい、完成いたしました」。丁寧な手捌きで見違えるほど、綺麗になった靴が登場。なんというか革が蘇ったような佇まい!悪目立ちするような輝きではなく、まさに健康的になったという表現が適切な仕上がり!

「表面的な美しさを磨くだけでなく、靴をより長く履いていただける様にする為のお磨きです。」綺麗になった靴に足を通すのは気持ちが良い。新鮮な気持ちで靴と向き合うことができそうです。

モノが溢れている現代では忘れがちですが、1つのモノを大切に使い続けることによって生まれる味わいや、喜びがあります。足元を見るとその「人となり」が分かると言いますが、その意味が分かるような体験でした。靴を磨くだけでなく、自分の感性も磨いてくれるそんな靴磨き体験をしてみてはいかがでしょうか?【Dratewka -ドラテフカ】

万世橋に店舗を構える靴修理・靴磨き店。
《ドラテフカ》は「靴の職人さん」を意味することばです。
 靴修理・靴磨きといったメンテナンスを通して靴を育て、靴とのより良い付き合い方を知っ ていただくお手伝いをするお店です。
 一足一足に合わせた最良のご提案と、最良のサービスをご提供いたします。 靴と楽しむ、そんな空間と時間をお試しください。
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今回の基本的な靴磨き(Maintenance ¥2,200)から、それに加えてより靴のかっこよさを膨らませる磨き(Make up ¥3,300)、更には郵送での磨きも対応しています。詳しくは店舗WEBサイトをご覧くださいませ。
※料金は2023年3月28日時点のものです。


〒101-0041
東京都千代田区神田須田町1-25-4
マーチエキュート神田万世橋
TEL : 03-5296-5777
OPEN : 11:00〜20:00(カウンターでの靴磨き)
※現在は予約制となっております。詳しくは店頭にご確認ください。

Photo:瀬田秀行
Hairmake:有田桃子
Model: Kenji(BE NATURAL)

撮影協力:(株)JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニー